2010年5月15日土曜日

熱力学からNewtonとEinstein II

Verlindeさんの「重力とNewtonの法則の起源」の翻訳をuploadします。他の英文blogのどこかにかいてありました。High School Physics and Mathematicsだそうです。私も一見、高校数学と高校物理だと思いました。数学はともかくとして、大変な高校物理です(Waldの論法やブラックホールの物理やAdS/CFTを高校生で概略を理解している人は一人や二人はいそうですが,,,)。まずはコメントなし版、コメント付き版は後日。

【翻訳】重力とNewtonの法則の起源

Einstein方程式からブラックホールの熱力学が出てくることは、1970年代初頭には確立しました(Bardeen,Carter and Hawking)(Bekenstein Hawking and Penrose他のひと)。これの逆をやっているという印象です。ホログラフィー原理と熱力学を前提に、Newtonの法則全体とEinstein方程式と等価原理が導出されています。数学であれば同値性が証明された、うんそうか、すごい、めでたしめでたしなのでしょうが、物理はそうはいきません。

しかし、20世紀の重要なもう一つの物理である量子論と場の理論についてはどうやって出すのだろう。Higgs機構はどうやって出すのだろう。これはゲージ原理をどうやって引き出すのだろうか、対称性の自発的破れをどうやって引き出すのだろうか、熱力学とホログラフィーを前提にして素粒子論側を解釈することは試金石のような気がします。

弦理論は、そもそも矛盾する関係にあった重力理論と場の理論(量子論)の統一という任務も本来持っていたように思います。もちろん御本人は背後で準備していると期待しています。

本文にもコメントにもあるように、弦理論に限定的な位置づけを提案しているとしか思えません。たとえば、重力は、閉弦の相互作用によって生成されると理解していたことが基本理論ではないと明言されています。ヒントとして開閉弦対応があったといっているが、ほぼ弦理論から軸足を他へ移した宣言と受け取れます。他の有名な人たちもそうですが。

ところで、元の英語版は、

On the Origin of Gravity and the Laws of Newton

翻訳の意味がどれほどあるかわかりませんが、理解できる人は原文が読める人かもしれないがそうでない人がいるのではないでしょうか、特に今回は「高校数学と高校物理」なのだから、ひょっとすると意味がでてくるのではと思います。この話は私の知る限り、一般のひとの目にとまるようなところへは出てないようです。一般の人の目にとまるようなところへ有名な物理学者の一つの説として出すべき内容と思われます。研究者でなくとも好きな人は理解するように思えます。

1 件のコメント:

  1. 等価分割定理(equipartition)は、空間を前提にしていたような気がする。調べきってないが、自由度が空間概念を前提にしていたのでは。しかしこれは、3.3のholographic概念を前提にして、加えてエネルギーが自由度に分布する、自由度はscreenの面積に比例する、出現する方向にエントロピーの変化がという付帯前提でうまく逃げているような気もする。

    Boltzmann-Maxwell分布が等価分割定理を前提としていなかっただろうか。見当ちがいか。

    1日考えたが、この部分理解できていないのだと思う。肯定も否定もできない。

    返信削除