Khovanovホモロジーのエピソードとタイトルを付けましたが、「KhovanovホモロジーとBPS不変量を結びつける」考え方は、永らく期待されており、Wittenさんにより確立されたと理解されます。この過程で、カテゴリ化が強く意識されるようになりました。この背景に、Atiyah卿の質問『なぜJones多項式の係数は整数なのか』があります。
Khovanovホモロジーのエピソード
S. Gukovさんの論文は、
Surface Operators and Knot Homologies
P. Woitさんのブログの引用元は、
Khovanov Homology
です。
4月15に朝方に:S. Gukovさん本人のcategorificationとgauge理論の関係について講義、
返信削除The Physics of Knot Homologies
Sergei Gukov (Caltech)
December 13, 2006
が、GRASPシリーズに出ていることを知っりました。おそらく私は北京のICMの発表のスライドを見て、このエピソードを知ったわけですが、それよりも整備されている気がします。
この講義は、題の通り結び目ホモロギーと物理に焦点があり、Atiyahの話やAtiyah-Floer予想やCasson不変量については、余り全面には出ていないが、単語だけはスライドの中に出てくる。Atiyah卿はスライド1枚に顔写真つきで、「何故、Jones多項式の係数は整数か?」の問題提起が出ています。
そちらの方をご覧になったほうがいいわ。
http://streamer.cit.utexas.edu/math-grasp/gukov.html
がURLです。
categorificationとgauge理論の関係については、非常に丁寧な説明があります。categorificationのスライドはPower Pointのようだが、アニメーションが入っていて、非常に凝ったものなっています。
でも力点が異なっているから、この記事のページもそのままにしておくことにします。
物理的には、整数性は空間の次元であるから、極自然なのだが、数学的にはあまり自明なことではないのだと思う。
返信削除Wittenの論文には次のようにある。(これはJones多項式の係数ではないが)
The Gopakumar-Vafa invariants are simply the dimensions of certain spaces of BPS states of M-theory membranes, so they are automatically integers, unlike the A-model amplitudes themselves (which in general are rational numbers). Expressing the closed topological string amplitudes in terms of Gopakumar-Vafa invariants is powerful because purely numerical invariants (the Gromov-Witten invariants) are expressed in terms of vector spaces (the spaces of BPS states).
要するに、categorificationにより、数値からべクトル空間となるので、その次元は整数になる。A-モデルの確率振幅と見ていたのでは、整数性は出てこないと言っているのか。
10/18のFields Inst.の『Langlandsプログラム』でのWittenさんの講演の冒頭に、
返信削除4次元の量子場理論は、閉4-次元多様体M_4 の不変量(数値、分配函数)、閉3-次元多様体M_3 のベクトル空間(の物理状態)、そして2次元多様体M_2 のカテゴリ(の境界条件)に結び付いている.
というcategorificationの最重要例の説明が出ている.すでにGukovさんの”Surface Operators and Knot Homologies”に提示されていて、これはKhovanov homologyからの影響も一部あるように思っていた.しかし、この考え方は非常に重要で、あまりにも多くの方向性を指し示しているように思われます.